ぐ . るぶる ver.20

ナツ もしくはnatsuまたは夏 が書いてます。残す場所。

新しい世界

書いていいものかと思っていたこと。
書く気にはなれないと思っていたこと。
ずっと頭の中にあったこと。
でも、気持ちがすこしだけ整理できたみたい。
書いてもいいよね。




1月14日。
友人が亡くなった。
私の大事な大事な家族みたいな親友の、夫になったひと。


彼には1ヶ月前に会ったばかりだった。
彼女と別行動だったはずなのに、なぜかふたりペアルックになっていて笑ったのを思い出す。
具合が悪化して、入院したのはそのあとすぐのことだったらしい。
お正月に持ち直したという彼女の声を聞いてほっとしていたのも束の間、
あっという間に旅立ってしまった。
まだ30前だった。



何年か前に、彼女には心も体も疲れてしまった時期があった。
そんな彼女に、元気を取り戻させてくれたのが彼だった。
彼といるときは本当に楽しそうで幸せそうだった。
「今が人生の中でいちばんしあわせ」と言って彼女は笑っていた。
そんな彼女を見ているとこっちも嬉しくなるくらいだった。


彼はほんとうにいいひとで不思議な魅力のあるひとだった。
彼女に彼を紹介された時、ああ、この人ならだいじょうぶ。と思ったもの。
温和な笑顔で好きなことに一生懸命だった。仕事も好きだと言っていたよ。



だから、話を聞いたときに、悲しみで倒れてしまうんじゃないかって
彼女のことが心配で心配でたまらなかった。
私だけじゃなくてみんながそう思っていた。



お通夜で彼女の顔を見た瞬間に涙がこぼれた。
彼女は精一杯、喪主を務めていた。とても立派だった。
そして会場はたくさんの友人であふれかえっていた。


彼女の「短い結婚生活でしたが、私はじゅうぶんにしあわせでした」の言葉を聞いたとき
私は声をあげて泣いてしまった。嗚咽がとまらなかった。
一緒に暮らして1年もたっていなかった。
私は幸せそうなふたりしか見たことがなかった。


この1週間、何をしていても頭の中でふたりのことが消えずにいた。
どうしているか彼女のことが心配だった。



だけど、彼女は、たくさんの友人に囲まれているんだなぁ、と知って安心した。
彼は彼女に、たくさんのものを残してくれた。
元気はもちろん、ステキな友人も。家族も。
そして強さも。
うらやましいくらい。
今、りょうくんに感謝したい気持ちでいっぱいです。



彼女は今、やらなくてはいけないことが山積みだと言っている。
悲しんでいる暇もないくらいみたいだ。
あんまり無理しないでほしいけど
彼の「個展」をやる計画もたてているみたいだ。


彼の作品が散らばっている部屋もすぐに思いだせるし、
芸祭に出店した写真も幾度か見せてもらった。
つくってもらったTシャツもポストカードも私の手元にある。
私は、彼の絵が大好きだったよ。


そしてこうやって、また新しいことを進めていこうとしている彼女と
彼女の強さに拍手を送りたい。
私もたくさんのものをもらったみたいだ。
新しい世界から、彼は彼女を見守っていると思うし、
彼女もまた見守られて新しい毎日を過ごしていくことと思う。


                • -

癌という病気について、私は実は詳しく知っているわけではない。
だけど私のとても近しい人は、この病気と今も闘っている。
たくさんの治療法を試し、消えたり、再発したり...
その度に、心を痛めたり、安心したり。
今は、だいぶ安定しているし、
私も「よくなる」って、願っているだけじゃなくて信じている。



でも病気になると「人と会いたくない時期」というのがある。
私が会いたいと思っても会えない時もある。


私も何度か、とても落ち込んだ。
そのせいで、遠くの友人に嫌な思いをさせてしまったこともある。


「怖い」という思いがある。
それは、病気が怖いんじゃなくて、
病気の人にどう接していいのかわからない、という怖さなのかもしれない。
病気の人だけじゃなくて、その周りにいる人にも。
自分を拒否される時の怖さも知ってしまった。



でも、私は今回、すこしだけ、ほんの少しだけかもしれないけど
彼と彼女に希望をあげられたのかもしれないって思う。
だから、私は、その人にお礼をいわなくちゃいけないし、
もっともっと元気になってもらいたいと思うんだ。


会いたいなぁと思ってる。会いに行きたいなぁって思ってる。
怖くてもいい。嫌がられてもいいや。
元気になってくれてありがとう。って言いたいんだ。




読んでくれてありがとう。
私もまた、書きたいときに書く日記、に戻ろうと思うよ。