先日夜中にやってた、奥山貴宏さんの「ガン漂流」のドキュメンタリーの再放送をウトウトしながら見た私。(前回思っていたより見逃してなかったことが判明)
そのあとで、彼の死の間際の渾身の小説「ヴァニシングポイント VP」に手をつけた。
...正直、ちょっとがっかりした。
ああ、こういうことなのか。と。ちょっと熱がひいちゃった。
私が、「こういうふうに死にたい」と言ってたのは、
「死を恐れずに死にたい」
「かわいそうなんて言われたくない」
ということだよ。と弁解したい気持ちであります。
つづく。
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つづき。
◆「ヴァニシングポイント VP」
- 作者: 奥山貴宏
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2005/04/14
- メディア: 単行本
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何から書こうか悩んだ。けど、とりあえず小説から。
たぶん、まとまりつかないと思うけど許して。
この小説は、彼の自伝的小説になっている。
とは言うものの、どこまでが本当なのか実際のところは私にはよくわからない。
この本を貸してくれた貸し主(♂)は「つまらなかった」と言っていた。
本を読み始めて、彼の編集者としての仕事とか業界のことなどが垣間見れて、「別につまんなくもないじゃん」と思っていたのだけど、
読み終わったら、彼が「つまんなかった」というのがよくわかった。
SEX×DRUG×ROCK'N ROLLと言うけれど、この主人公の場合は、バイク×ドラッグ×ナイトクラビング...かな。
仕事とかイベントにのめり込む話が出てくるだけマシだけど。
彼にとっての格好良いもの、ってそんなもんだったんだろうな。
それが、彼なりの「美学」だったんだろうけど。
テレビのドキュメンタリーを見て、ずっと気になっていたことがあった。
前にもちょっと書いたけど、なんで彼はそんなに「自分を忘れてほしくない」ってことにこだわるのか、ということ。
女性との存在、と言うか、彼女の存在というのが、TVではまったく見られなかったのもすごく気になっていて。(HP管理の編集者さんと、お母様の姿はあったけど)
「たくさんの人にオレを覚えていてほしい」って、ほんとにこの人は思っていたのかな?
それって、実はとても寂しいことなんじゃないのかな。
私は、自分にとって大切な人に、自分を覚えていてもらえれば、それでいい。と思うから。
本の中に、彼女というものの存在を否定するような記述があったのだけど
(その話はまたあとでー、とかきながら、話は結局出てこなかった)
人生の中で、大事だって思える人はいなかったのかな。別に、女性にこだわってるわけでもないけどさ。
...とか言ったら、彼に「愛とか恋とかばからしい、ふざけんな。」って言われそうだけど。
本に出てくる、イディの存在は、彼にとってとても大きな存在だったんだとは思う。
この話が本当で、イディの存在が実際にあったものだったとして、
この小説を書き上げるというのは、自分にとっての証でもあり、そして、消えてしまったイディに対してのプライドだったのかなぁって思うのだけど。
そういう意味では、彼は、カッコよさだとかプライドだとか、そういう自分の美学を貫いた人として、敬意を払うに値する人なのかもしれない。
ただ、やっぱり、この小説を読まなかったほうが、奥山さんを「カッコイイ」ままの眼で見られたんだろうな。と思うと自分が残念だけど。
小説も、自分の死というものを無視して、素直にただの小説として書いてくれたらまた違ったんだろうに...(でも、そしたらそしたで、つまんない本かも。)自伝小説って名前とったほうがよくないですかね?
とはいえ、いままでにない闘病記をつくって死んでいこう、そう思った奥山さんは、やはり今までの人を越えているのかもしれない。と思う。
私が、ドキュメンタリーでいちばん心に残ったのは、サイボーグ母。そしてミヨP。
病気と闘うことは、もちろん当人がいちばん辛いけど、でも、実はその影にいる人だっていろいろな思いを抱えて、そして体も投げ出してるんだって。そう思うんだ。
HPにサ母の最後の言葉があって、それを読んだ時に、この母のすごさを思い知った。HPの存在を間際までしらなかった母。
母すごい。 だって、うちの母じゃ、たぶんあんな風に文章書けないよ...。
最後に。
私の近しい人も、今、闘病生活を送ってる。とてもとても辛そうだ。
でも、私は、遠いところで、そばにいるわけではなくて、介抱している人から話を聞くことしかできない。
介抱者もいつも疲れている。助けてあげたいけど、それも暗に断られたりもする。
自分は、励ますことと祈ることしかできない。
私は、いわゆる、闘病記っていうのをあまり好んでテレビで見たりしない人だ。
だから、そんな自分の立ち位置がなかったら、この番組も、スルーしていたような気がする。
思うことはひとつ。
自分にだって何が起こるかわからない。いつ死ぬかなんて誰も知らない。
だから、自分の生きてる日々をちゃんと過ごしていこうって。
笑ったり、泣いたり、怒ったり。そうだよね。
私は、すごいことをしようとも、みんなに覚えてほしいとも思わないけど、大好きな人たちには覚えていてほしいと思う。
だから、今、大好きな人たちと出会っていきたい。そう思うよ。