ぐ . るぶる ver.20

ナツ もしくはnatsuまたは夏 が書いてます。残す場所。

2009.2.1 東京1日目(前編)


あいかわらず、ムーンライト。
ひとりでチケットとると、レディス車両でたいてい隣のいない席にされるので
なかなか快適なのです。(混雑日でなければ)
そうすると2シート使えるので、横になって寝ることも可能(女子だからできる技かしら?)
あーあーこんな旅も、春には簡単にできなくなっちゃうわけね・・・。こまるなぁ。



・朝は東京駅へ移動して、いつものお店でゆっくり。
たいてい一番乗りで、いつもの席をキープ。
予定考えたり、ウトウトしたり。
似たようなカフェはたくさんあれど、
東京の朝は決まってここ。ジャズの流れる(でも、たぶんいつも同じだと思う)仄暗い雰囲気が眠い目にはちょうどよい。


・てなかんじで英気を養いつつ、駅構内ではやめにお土産も購入しつつ。
8時半。上野に移動。今回の宿は上野。重たい荷物は全部預けて身軽に。
・上野公園へ向かいます。いい天気〜。新潟と違ってあたたか。
・動物園の隣にある、東京都美術館


●生活と芸術 アーツ&クラフツ展〜ウイリアムモリスから民芸まで @東京都美術館
 http://www.tobikan.jp/

年末のパナソニック電工ミュージアムの「アーツ&クラフト展」につづき
またもアーツ&クラフト展。
19世紀後半からのイギリスのデザイン運動A&C。
もともと私は、デザインの運動でいったら、アールデコより、バウハウスより、A&Cが好き。(比べる内容が違う??)
工芸品を芸術としてではなく、日用品として取り入れたい、という思い。
大量生産のものでなく、手作業できちんと作ったものを日常に。
そういったところからA&Cが始まっているわけですが、
結局、丁寧な手仕事=必然的に高価なものになってしまい、庶民の日常生活とはかけ離れてしまうんですけど。


美しいと思えないものは家に置くな、だとか、用の美 だとか
わかってはいるけど、身につまされるような言葉の数々。


ただ展示内容はというと、今回の展示は、なんだか絞りきれてないような気もして。
イリアムモリス的なものは意外に少なくないか?
A&Cだけ楽しみたいのなら、年末に見たパナソニックミュージアムの方が単純に目に楽しいし、ワクワクした。
素直に、ラブリーな柄、工芸品がたくさん!な展示だったので。


今回の展示は、A&Cからどのようにヨーロッパに影響を与えて行ったか、(例えば、ウィーンのゼツェションの紹介から、グラスゴーやドイツ、はたまたノルウェーハンガリー、ロシアの工房作品まで)
につながり、最後は、日本の「用と美」である「民藝」の展示へと移る。


でも、この民藝の展示がなんとなくとってつけたように感じられてしまって…
むりやり、ここに繋げたかーーみたいな気がしなくもない。
内容は「三国荘」の再現とか、もちろんすばらしいものばかりなのだけど
私はやっぱり、民藝は民藝館やそのものの空間で見るのがベスト。と思うからなのかな。
ホワイトキューブの空間に並べてあってもなんとなく、博物館展示的に感じられてしまう気がする。
このところ、倉敷(民藝館も大原の工芸館も)、松本、京都(河井寛次郎記念館)などのすてきな民藝館を見てきただけにそう感じるのかもしれないなぁとは思うけど。
最後に棟方志功の版画もどどーんと並べてあったけど、大原美術館のあれをみたあとなのであまりがーんとこないという弊害も。
そういえば、出口に日本民藝館駒場)の割引券もおいてありました。
実は、わたしは東京の民藝館は行ったことないんだけど。いつか。



(となりの動物園のパンダ焼き)  (そのまえの乗り物のりば)

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・休憩しようと駅にもどるものの、時間が気になり、早めに新宿に移動することに
・今日は行きたいところがほぼ大江戸線駅に引っかかっているので、都営地下鉄の1日券を購入。
大江戸線 上野徒町駅→新宿西口駅

・ひゃーー新宿についたら、ものすごい風。歩けないくらい。
歩道橋渡ってビルに入ろうとしたら、土日だからか表のドアしかあいておらず、さらに苦戦。
手を伸ばせばそこに美術館があるのに、表まで行く間に自分が飛ばされてたどり着けないんじゃないかと思ったよ。


元永定正展 いろいきている @損保ジャパン東郷青児美術館(新宿西口)●
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html

思うところがあって見に行ったんです。これ。
実は元永さんあんまり好きな印象がないんですけど、
でも訳あって、ちゃんと見てこようとおもったの。
結果としては・・・やっぱりあんまり好みじゃない、というか、わたしの嫌いな色使いもたくさん。
だったわけなんですが(すみません)
すでに90歳近い元永さんの描いてきた絵の変遷(時代によって明確に変化)なんかも見れたのは興味深かった。
初期の打ち流しの抽象絵は好きだなぁ。勢いもある。


70、80年代あたりの、「線とグラデーションによる構成」の時代の作品群がどうも苦手。
「かたちの追求」の時代あたりは、ミロっぽかったりとかわいいな、と思えるものもあるのだけど。
うーん。
やっぱり、色あわせがひと昔前だよなぁと思ってしまう自分がいて。


でも、「ひらがな」を愛していて、ことばあそびでできている絵の題名は、すごくわたしごのみなんだけど。
単純なことば遊びという部分では五味さんを思い出してしまうけど、もっとシュールでもあり。
絵とタイトルを見比べて、「あ、くすっ」と笑っちゃうかんじがいいのです。


さてさて、展覧会のタイトルになっている「いろいきている!」は、
2006年の「こどものとも」50周年記念600号の絵本のタイトルでもあります。
文章は谷川俊太郎さん。
紙に絵の具を流したあとの自然な形を作品にしています。
そんな単純でいいのか?と思っちゃう部分もあるんですけど、意外に「流し」技法で作った作品がわたしは好みです。
絵本に関しては、文も絵も元永さんがやられていることが多いのですが
これは谷川さんで、絵本「もけらもけら」の文は山下洋輔さんですよ!


常設展の奥の部屋。いつでもちゃんと見れるようになっているはず(たぶん)の ゴッホの「ひまわり」
ひさしぶりに見れました。
今回はこのゴッホとミレーとドガの3点が別室(保存の都合上、照明暗め)になってました。


ちなみに、東郷青児美術館は、ビルの42階にあるのです。
新宿のごみごみした街もおもちゃみたいに見えるし。目の前にカメラ屋の看板がドーンだったり。
遠くに目をやると東京タワーも見えちゃうし。眺めよしです。


気になったことひとつ。
この日は、ほんっとにものすごく風が強くてまともに歩けないくらいだったんですが
展示室に入ると「ギーギーギー」って音がしてるんです。
何の音ですか?と尋ねると、「風が強い日はこの音がしてしまう」とのこと。
ビルの設計上の都合なんでしょうが、かなりの音量で、
このままこのビル倒れちゃうんじゃないだろうか(笑)と心配になっちゃうくらいでした。
まあ、そんなことないだろうと思いますが。

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次。
信濃町って書いてるけど、大江戸線使ったので国立競技場駅で下車。
ちょっと迷いつつ、見つけました。でもちゃんと地図があったらすぐいける場所。

●三瀬夏之介展〜冬の夏〜 @佐藤美術館(信濃町)●
http://homepage3.nifty.com/sato-museum/exhibition/index.html


これ、すーごーかったーー。
この展示みれたのは今回の旅の大収穫。こういうのに出会えるとうれしくてしょうがなくなる。
日本画、とはいうものの、岩絵の具と膠を使うから日本画というジャンル分けをしてしまうのであって
現代の美術では、ジャンルに分けるのが非常に難しいというか、ジャンルなんか関係ないんじゃない?
と思わせられる作品はたくさんある。
三瀬さんの作品もそうでしょう。
本人も、「日本画は死んだか」などと日本画を疑問視しているようでもあり。


展示室を占拠してしまうような特大の屏風型展示はもちろんだけど、上の階にあった作品群がすばらしかった。
細かく見ていったら、時間があってもあっても足りないと思う。
計算されていないようで、計算されている空間づくり。
インスタレーションのように、つくりこまれた迷路のような会場。
探検するのがおもしろい。
それにしても、今回の三瀬さんの絵のポイントは「緑青の色」
わたし、この色がだいすきでだいすきで。ラピスラズリと錆の色に囲まれたこの空間に居るだけでうれしい。
本来なら、高価であるはずの「緑青」の絵の具ですが、ほんとうに錆をつくることで色をつくり出している、
というようなことが書いてあって、うわーやるなぁーと思うことしきり。
今、みてほしい展示、おススメNo.1です。


実はショップの階に、図録が置いてあり、買う気満々だったのだけれど、
どれも、今回の緑青の作品が載っていずモノクロ作品のものばかりで躊躇。
「月刊美術」の雑誌が置いてあって、三瀬さんのインタビューが載っていた。
それがすごくおもしろかった。芸術系(工芸系?)高校の現役教師なんだそう。
普通に放課後、生徒の部活動と一緒になって自分の作品も描いているとか。超意外!
「作品を畳める」といえてしまうような描き方も、すごく興味深いのです。
三瀬さん、これから絶対露出が多くなる作家さんだと思う。注目してます!

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後半につづくー